院長先生のコラム 3月号
★ 雛人形の季節に
左近の桜、右近の橘は京都御所の紫宸殿の前にある。向かって右が左近、左が右近。雛人形も内裏様から見て左右を示す。日本の古来文化では、「陰陽説」によって男性が左、女性が右である。世の中の森羅万象は陰陽の二気で構成され、どちらの気が強く現れるかによって陰と陽に分類する。太陽は陽、月は陰。天は陽、地は陰。男は陽、女は陰。左は陽、右は陰という説である。従って男女を並べる場合、左に男、右に女ということになる。これは自分からで、向かっては男は右と云うことになる。現在でも京都を中心に関西では雛人形はこれに倣っている。関東で逆なのは、昭和天皇の即位礼の並び方に倣った新しい考え。東西の差は内裏様だけで三人官女、五人囃子、右大臣(若)左大臣(老)、桜橘の並びは変わらない。家によっても流儀があるので、結局どちらでもよいと云うことになる。陰陽は要素であって優劣や善悪を表すものではない。念のため。
『ザ・淀川 平成27年3月号掲載』